「何を笑っている。お前は“道化師”。ウソたるお前は、僕の命令なしに笑ってはいけない。そう教えただろう?」 黒い肘掛け付の椅子に肘を立て、少年は不服そうに青年を見た。 青年は黒い瞳を細め、満面の笑顔で微笑み返した。 「無駄だよ。ボス。だって俺、もう心を知っちゃったんだもん」 心を知った“道化師”。道化師はウソの存在。少年は青年を見つめた。