「わ・・・わりぃ。全然、いるのに気付かなかった・・・。」
どうやら本を読んでいたようで、脇に吹っ飛んでいた単行本を拾って返す。
「あぁ・・・いえ。いいですよ。存在感薄いって大抵言われますから。」
男は細いフレームの眼鏡をちょっとあげて、自嘲でもない笑みを返してきた。
サラッとした黒髪の優等生っぽい男。
・・・なんなんだろーなぁ、別に暗いってカンジでもねぇんだけど。
「何でオマエこんなトコにいンだ?いじめられっ子か?」
「そう言うわけではないですけど。俺、転校生なんすよね。」
「転校生?」
「ええ。同時期に転校してきた石清水清香さんが目立ってて、あまり周知されてないんですけど。」
「・・・ああ」
どうぞ、と隣を促され、ごく自然に腰を落ち着ける。
「基本、人付き合い苦手なんで、自ら積極的にトモダチ作る気もないんです。浮くのもメンドウなんで、クラスでは当たり障りなくやってますけどね。」
「ふーん。」


