月下の踊り子






「知らん」

「かぁーっ!隠すなよ。で、場所は?」

「海にしか行ってないが」

「海っ!?ホテルとかじゃなくてか?」

「ホテル?外に出たのに何でわざわざ室内に入るんだよ」

「まぁそれもそうだな。でも、やりにくくなかったか?まさかこの冬場で海の中に入りながら何て事はないよな?」

「そんな事したら間違いなく凍死する。初めにやったのは車の中だったよ」

「車の中かよっ!?考えたな。で、で、どういう風に迫ったんだよ?」



山口は子供の様に一人で質問の嵐を起こす。


キス如きの遣り取りがそんなに気になるものなのか?


どういう風に迫ったか?一番初めのときを思い返す。あれは確か――。



「何もしていない。私が少しだけ眠らせてもらってる時に舞歌の方からしてきたんだ」

「逆マグロっ!?」



訳の分からない単語を持ち出して山口は驚嘆する。


逆マグロ?マグロの反対に位置する魚なんていたのか。