看守室に戻ると山口が先ず大きな欠伸をした。
眠気を覚ます様に首を二、三回振った後、「お疲れさん」と私に向かって労わりの言葉を投げ掛けた。
「山口、本当に恩に着る」
「良いよ礼なんて。舞歌ちゃんの思い出作りの為なんだろ。で、どうだったよ?」
「何が?」
「何がじゃねぇよ。職を賭けてまで外に出て、はいそれで終わりなんて言ったらぶっ飛ばすぞ。キメたんだろ?」
「キメたって……」
言わなければならないのだろうか。
誤魔化しても良いのだが山口はこの作戦に多大な協力をしてくれた。
その恩人に嘘をつく事は例え山口が相手だったとしても心が痛む。
「ああ」
短く、そう答えた。

