月下の踊り子





私は舞歌の胸に顔を埋める。とても良い匂いがした。


懐かしい――母を感じさせる優しい匂い。


声が出てこない。


言うべき言葉はまだあるはずなのに。


さらに舞歌の胸に顔を埋める。


今は顔を見られたくない。


優しさに触れ、自然と流れ出た涙。


舞歌は胸に感じる湿り気で気付いたが何も言わず、全てを包み込むようにいつまでも私を優しく抱きしめ続けた。