「……そうか」
「羽鳥さんが私の為にと思ってくれてる事は本当に嬉しいです。でも、ごめんなさい」
「いや、良いさ。なぁ舞歌」
「何ですか?」
「舞歌は以前、私にこう聞いたよな。舞歌が死んだら私が悲しむかどうかを。今ならその答えをはっきりと言える」
「……聞かせて下さい」
舞歌は少し躊躇ってそう訊ねた。
「悲しくない」
「――えっ?」
「悲しみを通り越して舞歌を奪うこの世界に対して憤りを憶えるだろう。
舞歌、お前は今の私の全てだ。私は舞歌を失う事が怖くてたまらない」
「羽鳥さん……」
舞歌はゆっくりと近付き、その華奢な身体で私を抱きしめた。

