舞歌を抱きしめ、もう一度、唇を重ねようとすると――。
「――羽鳥さん」
手の平でそれを遮られた。
「あの、ちょっと、これは刺激が強すぎます。あんまりやられると蒸発しちゃいそうです」
「あ、ああ」
目の前の少女があまりに愛し過ぎて自制が利かなくなっていた。
とは言え、がっつく様な態度を取ってしまった事を反省する。
ふと、車に搭載されてあるデジタル式の時計が目に入った。
帰りの時間も含めて、舞歌と一緒にいられる時間はもう三時間もなかった。
運転席から下りると、半周して助手席のドアを開ける。
無言で手を差し出すと、舞歌は私の手を握り、一時の自由の地へ向けてその一歩を踏み出した。

