「……ぷっ」 思わず吹き出してしまう。いけない、いけない。 冗談もこのくらいにしなくては。 手を離すと私は羽鳥さんの顔をじっと眺めた。 この人はどうして私なんかの為にこんな事までしてくれるのだろう。 職は愚か、命すら失い兼ねない決死の逃亡劇。 まるでそれはドラマのワンシーンの様で、今、ここにいる自分が予め決められた台本に従って動いているだけの傀儡の様な気さえする。 月が彼の顔を照らす。 誰よりも愛しい人の顔。 高鳴る動悸を抑え、そっと彼の胸に手の平を置く。