月下の踊り子



「動くな」



硬い金属物を後頭部に押し付けられる。


世界の全てが一瞬にして停止した。


その停止は作戦失敗の静寂であった。



「両手をそのまま頭の後ろで組め」



私も舞歌も言われるがままに両手を挙げ、頭に手を組む。


その後、背後にいる何者かに腰にぶら下げてある拳銃を抜き取られた。


ちっ!と、心の中で舌打ちする。


抜け目のない奴だ。


先行しなければならない事を把握している。


このまま拳銃を放置しておいたら油断した隙にやられるかもしれない。


そんな事態になる可能性を事前に潰している。


後頭部に押し付けられていた拳銃が離れた。


恐らく背後の人間が一歩だけ離れたのだろう。



「振り返っても良いか?」



私が訊ねると「その状態のままでならな」そう、背後にいる者は答えた。