「なんで?」 かがんでいた視線を戻し、まっすぐ立つと彼を見据える牧村くん。 それでもわたしと彼との距離は変わらない。 というより心なしか縮まった気がする。 近い。 牧村くんの体が近い。 でもそんなことより、坂口くんの顔が怖い! 二人の間の空気がピリピリと痛い。 「俺が中村さんに近づいちゃダメなの?」 飄々とした牧村くんの態度は変わらない。 「それは... そいつは、俺の...」 眉間のシワが濃くなり、坂口くんは口ごもる。