順番でわたしを含め2、3人で片づけをすることに。
沙織には先に帰ってもらい、女子の分だけでも片づける。
「ふぬっ」
いくら軽い材質といっても、支柱を一人で持つのはきつい。
低い姿勢で根気強く運ぶ。
途端にふわりと重みが和らぐ。
「一人じゃつらいっしょ」
無邪気に歯を見せて笑うのは、短めの黒髪の少年。
知ってるも何も、同じクラスの牧村 頼[ヨリ]くん。
学年でも人気の男子だって、クラスの女子が言ってたっけ。
さっきの体育でも名前呼ばれてたし。
「マッキーっ、先行ってんぞー」
「おー」
マッキーというのは彼の愛称。
わたしは接点がないから、もちろん呼んだことないけど。
バレー部に所属している彼は、スポーツ男子として人気がある。
わたしはバレーに詳しくないんだけど、スパイカーとしてチームで活躍してるみたい。
確かに今日の体育も、何本も決まってた。
優勢だった坂口くんのチームに大逆転してたもん。