その声を聞きすぐに庭へと目をやる。
中村はいち早くローファーに履き替え、外に飛び出した。
俺と佐伯さんも、外用のスリッパに履き替え後に続く。
すると門の近くで仁王立の女性がいた。
「どういう教育をなさっているんですか!泥だんごを投げつけるなんて!」
千鳥格子のスーツをまとった女性。
目元のボルドーカラーのメガネが威圧感を漂わせている。
しかしスーツには嫌でも目立つ部分がある。
それは胸元についたはっきりとした泥の汚れ。
「わたくしに向かって、泥だんごを投げつけるなんて!!」
「とんでったー」
悪気なしに答えるのは炯太と呼ばれた元気な子供。
だがギロッと女性に睨まれ、そばにいた中村が黙らせる。
「すみません、すみません...」
きょとんとする炯太と、怯える靖太を押さえて彼女はペコペコと頭を下げる。

