「掃除はもちろん。

それに料理もやるようにお願いされてる」



彼は昨日の夕食時にも見ていた、無地の白色のファイルを眺めている。



「お願い?どういうこと?」



ボールペンで記入する手を止めて彼を見上げる。



「おまえのお母さんの中村...奈津子[ナツコ]様に依頼されてる」


「えっ、お母さん?!」



あまりにも意外で耳を疑う。



「当たり前だろ。じゃないと俺、派遣されてないから」



あ。そうですよねー。

気を取り直して、また記入を始める。



「昨日のオムライスだって、申し込み用紙に書いてあったんだよ」


そう言って一枚の紙を差し出す。