「食事の面倒を見るのが、俺の主な仕事だから」


「洗って返せ」といかにもな命令口調。



「付き合ってんの?!」


お弁当を受け取る光景に沙織は驚く。



「ち、ちがうっ!!」



必死に否定するも、沙織の目は明らかに疑っている。


わたしにお弁当を受け取らせるのを確認すると、坂口くんはそのまま立ち去った。


な、なんて勝手なの...。



お昼の時間、坂口くんからもらったお弁当を開ける。


アスパラガスのベーコン巻きに、プチトマト。

卵焼きも入っている。



なんと言っても印象的なのは、白ご飯に梅干しで鼻、海苔で目、口を表してあるにっこりカワイイ顔。


顔弁というものかな。


「カワイイけど...坂口ってこんな趣味なの?」


「さ、さあ...」


沙織と一緒にお弁当を覗き込み、首をかしげる。


こうして、わたしと家政夫くんの生活が始まった。