「遠距離なんて、すぐに崩壊するのが常で———」
親父さんが悔しそうに声を荒げるも、それを遮るかのように機械音が鳴る。
「遠距離して成功した奴らなんて...」
「あの、ケータイ鳴ってますよ」
「...わかってるよ!!」
チッ、と軽く舌打ちされ親父さんは荒々しく電話に出る。
「あ? ああ、俺だ」
すぐに雰囲気が変わり、やり手のリーマンに一変する。
その間は空気を読んで俺も小春も黙る。
隣に目線を向けると、頰の赤みが引かない小春の姿が愛らしい。
こそっと抱きしめてしまおうか。
そんな邪なこと考えてしまうのも仕方ない。
だって俺、健全な男子校生だし。
開き直れるのも妙な踏ん切りがついているからかもしれない。
「...契約打ち切りだと?!」
親父さんの怒号がリビングいっぱいに響く。

