「それでも俺と妻は、小春に寂しい思いをさせないようにしてたんだ。
一人にさせてしまうから、必ずメシは作って仕事に行く。
何不自由なくさせてきた。そして小春も常に笑顔を向けてくれた」
黙って親父さんの言葉を聞く。
掃除、洗濯、炊事。
家事全てを任された理由がわかった気がする。
「でも、ベトナムへ行って気づいた。
向こうの家族が幸せそうにしているのを見る度に”ああ、俺は小春に何をしてやれてたかな”って」
情けなく笑うその顔は父親の顔。
なんだよ。
ちゃんと愛されてんじゃねーか。
「もう遅いと思うかい?」
金がある家庭なら、金だけ置いて子供は放置する。
それでも家政婦を雇ったのは、安全に幸せに暮らして欲しいって心配してたからだ。

