ただ食卓で待っているのもつまらない。
オープンキッチンで調理風景が見えるので、じっと彼の手さばきを見つめる。
学ランを脱ぎ腕まくりをしたワイシャツの格好が、さらにカッコよさをプラスする。
むー。悔しいけどかっこいいなあ。
それにしても家が王族とか、極道とかウワサされてたのに。
家政夫さんだったんだ。
やっぱり噂はあてにならない。
そんなことを考えていた瞬間、バチッと目線が合う。
ぎゅうっと心臓が一気に苦しくなる。
「そっ、いえば、なんで大丈夫なんて聞いてくれたんですか?」
「ほら、玄関からうちに入ってきた時にっ」と苦し紛れに尋ねる。
だって急に目が合うんだもん。びっくりしちゃった。