長く続く無言に耐えられず口を開く。 「あの、どうかされたんですか?」 控えめに尋ねたのは、親父さんの表情が暗かったからだ。 ため息ついてたくらいだし。 「実はな... 小春が俺のこと大っ嫌いだって言うんだ!」 うわあああ、と顔を両手で覆う。 「あ、あの、落ち着いてください!」 大の大人が声をあげて泣くと、周りの目がいきなり集まる。 俺だってどう対処すればいいかわからない。 今隣にいる人は、有名企業の商社マンの面影なんてまったくない。 家に居場所を失いつつある、普通の親父さんだ。