Reminiscence

「おかしい……?」
突然旅人が立ち止まってそう言った。
フェンはその隙に旅人の腕から抜け出し、地面に軽やかに着地した。
後から走ってついてきたランジェがフェンの頭の上に飛び乗る。
「どうかしましたか?」
「おい、フェン、今まで小道はたくさんあったはずだな?」
「ええ、おかげでたくさん迷いました」
「どんなに遠くても200メートルくらいで分岐点があった。なのに、もう1キロくらい走ったがずっと一本道だ」
「ここが正規の道なんじゃないですか?」
「いや、違うだろう」
旅人は舌打ちして言った。
「ここじゃ迷って無駄に小道を作る奴はいないってことだ。つまり、この先にあるのは、野盗どものアジトだろう。あの野郎ども、道をふさいでここに誘導させやがったんだ」