Reminiscence

商人とフードの男が去ったあと、フェンは旅人にランジェの言っていたことをを話した。
「気になる、か。私もそう思った。それに、あの商人のほうも怪しい。こういうところで商売するのは無知な駆け出し商人か、それともやばい奴のどちらかだ」
「では、あの二人は……」
「やばいほうだな。野盗の一味だ。高く皮を買い取ったふりをして、あとで集団で襲いかかるつもりだろう」
「師匠!?まさかわかってて?」
「振り払いさえすれば儲けもの。さ、いそぐぞフェン。走れるな?」
旅人はにやりと悪そうな笑みを浮かべ走り出した。
「ああ、もう……まったく、もー!」
フェンはやけくそのように叫ぶと旅人のあとを追って走り出した。