Reminiscence

早朝、フェンはマントを羽織り空を見上げた。
もうすぐ冬が来ようとしている。
朝の空気は冷たく、澄んでいた。
フェンはほっと白い息を吐くと、棍を手に取った。
少し離れたところには旅人が剣を構えて対峙している。
毎日行われている早朝訓練だ。
1時間、とにかく剣を合わせ戦い続けるこの訓練では、いつもフェンが王手をかけられてしまう。
かわすのは得意なのだが、体重が軽いせいかすぐに転ばされ一本取られてしまうのだ。
「っはぁ!やっ」
フェンは自在に棍を振り回し、旅人に迫るが、旅人はそれを片手でいなし、フェンのバランスを崩させる。
その日も、フェンは転ばされて早朝訓練が終わった。