Reminiscence

「美しい……」
ランジェはフェンの頭から飛び降りると堤防に座って海を見つめた。
「うん。綺麗」
フェンも潮風にはためくフードをつまんで海を眺めた。
「私は森から出たことがなかった。森の外にもこんな美しい眺めがあるのだな。
「このあたりじゃ降らないけど、南にいけば雪が見れるそうよ」
「雪?」
「真っ白で冷たい雨なんですって。流れずに積もって、とても柔らかいの。晴れた日に雪が積もったのを見るとそれは美しいって聞いたわ」
「ふむ」
ランジェはひらりとしっぽを振った。
どうやら興味をひいたらしい。
「いけるのか?」
「どうだろう。セント・リーディアスでは降らないし」