ミカゲが二階から身を乗り出すようにして一階を見ると、シエンを抱いたフェンが輝かんばかりの笑顔でミカゲを見上げてきた。
ミカゲははじかれたように階段を駆け下りると、シエンもろともフェンを抱きしめた。
とても15歳とは思えない小さくて華奢な体はミカゲの腕にすっぽりと覆われてしまった。
「フェン、フェン?もう喋れるのね?」
「ええ。ありがとう、ミカゲさん……」
雰囲気で、フェンが微笑んだのを感じる。
ミカゲは目じりに涙をうかべてきゅっと目を閉じた。
この可愛くて可哀そうな娘の声が帰った。
それが自分のことのように幸福に感じた。
このような気持ちを、この子の師であり親であったクエロも感じたことがあったのだろうか。