Reminiscence

そのシエンにとっても、ミカゲにとっても計算外だったのがフェンの行動力と、目覚めたばかりのときの冷静さだった。
フェンが記憶を失ったということはフェンの精神を保つことに貢献したが、また新たな衝撃をフェンに植えつけてしまったという結果をもたらしてしまった。
果たしてどちらの方がよかったのか、それは到底推し量れるようなものではないが、今フェンの記憶が戻ることだけは避けたい事実だった。
フェンはしばらくミカゲのところで暮らすことになった。
一週間がたったが、フェンの声は帰らず、ランジェも姿を消していた。