ランジェはフェンを抱き上げると書斎の窓から飛び降りた。
書斎は二階にあったが、精霊の躯ならばなんの問題もない。
旅をするうえで、フェンは多くの荷物を持たずそのほとんどを持ち歩いていたからこのままでもいいだろう。
とにかく今は屋敷から出てネニャフルに行くのが先決だ。
「お兄ちゃん!?」
「そこの怪しい者!お姉さまを離しなさい!」
再度飛んで塀を乗り越えようとしたところで、フェンが可愛がっていた双子に見つかった。
「幼い人間どもか。生憎お前らの相手はしていられない」