Reminiscence

「師匠!」
化け物がマナに覆われて消えるとフェンは旅人の元へ駆け寄った。
旅人は無表情に空を見ている。
「師匠っ!!」
フェンが再度旅人を呼ぶと、旅人はフェンのほうを向き、体を起こした。
「っだめです師匠、寝ていてください。これくらい、なんとか治してみせますから……!」
「フェン」
旅人が声を発した。
それはとても落ち着いた声で、ほどよく低く気持ちの良い声だった。
それはいつもの中性的なものとは違う、男性的な声だった。