Reminiscence

旅人はフェンの決意を、嬉しさと満足感、それと懐かしい気分を味わいながら聞いていた。
こうなることは予想していた。
魂を取られるよ、と脅されていた精霊の住む森の近くで堂々と歌っていた子だ。
精霊のことを疑っていたわけではない。
むしろ深く信じ、恐れていた子供だった。
それでもその思い切りの良さだ。
異界の化け物を倒しに行く、と勇敢な判断をするように最初から感じていた。
いつのまにか芽生えていた自分を知ろうとして、何か大事なことを決意する心は、思いもがけないことで、驚きと嬉しさ、頼もしささえ感じた。
でもそれは同時に、どこか懐かしかった。