Reminiscence

「フェン」
フェンに棒術を教えている旅人は、正式に村に留まるようになっていた。
「師匠」
フェンは棍を片手に振り返った。
フェンが精霊の森から帰ってきて1年になるが、周りの子供たちが成長期で成長していく中、フェンの成長はほとんどなかった。
測ってみればちゃんと成長はしているのだが、それはひどく遅々としたもので、旅人は精霊との契約により半分精霊として体のつくりが変わったからだと解釈した。
根拠はないのだが、いくつかそれをほのめかすようなことがあったからだ。
たとえば体重。
見た目も変わらず、食べる量も人並みなのだが、日に日に軽くなっているようなのだ。
動きもまるで地の吸引力を無視するような俊敏さを持つようになり、身の丈よりも高い棍を軽々と振り回すことができた。