ランジェは意識を精霊の森の外に向けた。
月が沈んだから、フェンのそばにある躯に意識を戻してもいいのだが、どうやらその躯のそばにフェンはいないらしい。
ここからずっと西に行き、少し北に行った場所。
そこで黄金のマナの波動を感じた。
「『赦す者』が先か……意外だったな」
ランジェは立ち上がり、周りをぐるりと見渡した。
どこか遠くの黄金のマナの影響を受けて月光草が騒いでいる。
「我が契約の娘が覚醒した。動き始めるぞ、彼の娘を取り巻く定めが」