Reminiscence

「最近、村で流行っている病の薬のためにか」
「流行ってる?」
「お嬢さんが精霊の森に消えた3日の間に、村人の半分がこの病にかかった」
「そんなに早く……」
フェンは月光草をぎゅっと握りしめると、きっと顔をあげて言った。
「早くクラドに戻らないと!」
「だが……その前に自分の家に帰ったほうがいい。君は行方不明だったのだから」
「でも……早く薬師さまにこれを渡さないと」
「私もついていくから、まずは自分の家に帰るんだ。いいね?」
旅人は有無を言わせない口調でフェンに言った。
フェンはしょんぼりとうなだれると、小さくうなずいた。