Reminiscence

女性はしばらくフェンの顔を見つめると、あきらめたようにはっと溜息をついた。
「慕われてるのね、クエロ。残念だわ。私の名前はミカゲ。クエロとは同期の腐れ縁。とは言ってもこいつはろくでもない裏切り者だけどね」
「っは!言ってろ。いまだ独身の性格悪い人形師め」
「独身言うな!だいたい、あなたがネニャフルの中央広場にいきなり野盗をまとめて送ってきたものだから大騒ぎになったのよ!しばらく牢屋でおとなしくしてたら許してあげようと思ったのに、ふつう壁壊してまで脱走する!?」
「あ、そ、それは」
「フェン、少し黙ってくれないか」
ミカゲの言葉にフェンが名乗りを上げようとしたが、旅人はフェンをにらんで黙らせた。