Reminiscence

フェンは今日あったことを旅人にできるだけ詳細に話した。
旅人は難しい顔をしていたが、精霊の力を使わず自力でお金を集めたということには素直に感心し、フェンを褒めた。
「だが慢心はするなよ。旅をするときは警戒を怠るな。こんなところでも、その眼帯の紐が緩んで封印が解けてしまうだけで正体がたちどころにばれてしまう。それに、その月光草の繊維が編み込まれた飾り紐も派閥の人間がみたら不審に思うかもしれない。精霊の森の民のことは一般には知られていないが、知っている人間だって少なからずいるのだから」
フェンは旅人の言葉を記憶に刻みつけるようにしっかりと聞いた。
先に、ルーナフィアナのような姿をしているというだけで襲われたことがあったため、こういう警戒はしすぎるくらいがちょうどいいと学んだためであった。