Reminiscence

フェンが宿屋に帰ると、珍しくすでに旅人が帰ってきていた。
「フェン、お前それどうした?」
楽器のことを言ったのか、フェンには不釣り合いに高価な絹の袋のことを言ったのかはわからないが旅人は驚いたように声をあげた。
「こっちはランジェです」
フェンがそういうと楽器は猫の姿をとり、フェンの腕におさまった。フェンは楽器の重さが失せるのを感じて思わずランジェを締め付け、ランジェが苦しそうにもがくと慌てて力を緩めた。
「ではその袋は?」
フェンは誇るように言った。
「私が稼いできました」