Reminiscence

精霊はフェンに視線を戻した。
「幼き人の娘、名をなんという」
フェンはあ、とかう、とかどもりながら答えた。
「フェン……リーフェンリア=シャル」
「リーフェンリア……木漏れ日か。日の光は好かぬが、月光りは美しい」
精霊は機嫌良さそうにそう応えた。
フェンは勇気を出して精霊に話しかけた。
「せ、精霊さま……ごめんなさい……魂を取らないでください。友達が、病気で……月光草じゃないと、薬作れなくて……」
「それで、大人の人に取りに行くように言われたのか?」
「違うの……私、誰にも言わないできたの。熱がでて、体中が腫れる病気なの。きっと、今も苦しんでるわ」