だけど、これは恋と言えようか。

わたしの夢見た恋とは、わたしの知っている恋とは、甘くて、とろけるようで、だけど少し甘酸っぱいもの。
こんなに苦しくて、泣きたくなるようなものじゃない。

だから、お願い。

「諦めさせて……お願いだから、諦めさせてよぉ……!」

これしか逃げる方向はない。
だけど逃げるための術をわたしは知らない。

苦しくて、苦くて。
だけど愛しくて、恋しくて。

たまにこの恋の理不尽さに泣きそうになる。
だけどたまにお兄ちゃんの笑顔が嬉しくて溶けてしまいそうになる。

ねえ。
恋ってなに?
愛ってなに?

十六のわたしには、まだ分からないよ。

どんなものが恋かなんて。
人の愛し方なんて。