がらりというドアが開く音と同時に、わたしは教室へと入る。
「おはよう。昨日は大丈夫だった?」
まだ困惑が抜けていない顔の有希が寄ってきた。
わたしは有りっ丈の笑顔で、答える。
「うん。ごめんね、心配かけちゃって」
するといつも通りのわたしの様子に安心したのか、有希の困惑の色が抜けた。
そんな有希に、わたしは心の中で謝った。
――ごめんね、有希。
本当はこんなことしたくないのだけど、こうしないと嫉妬で狂ってしまいそうになるから。
あなたのためなのよ。
わたしのためなのよ。
「そう……お兄ちゃんに、伝言を頼まれたのよ」
「え? 祐斗に?」
その呼び捨てのところがいやだ。
わたしにとっては「兄」でしかないということを、言われているようで。
「うん。あのね、ごめんだって」
わたしは涼しい顔でそう言った。
だけど心の中は、嫉妬心で疼いていた。
わたしとお兄ちゃんが結ばれないことなどとっくに分かりきっている。
だからわたしは、お兄ちゃんと誰かが結ばれることを阻止することしかできない。
有希の顔をちらりと横目で見た。
今までに見たことのないような表情をしている。
まるで全てが抜けてしまったような。
「おはよう。昨日は大丈夫だった?」
まだ困惑が抜けていない顔の有希が寄ってきた。
わたしは有りっ丈の笑顔で、答える。
「うん。ごめんね、心配かけちゃって」
するといつも通りのわたしの様子に安心したのか、有希の困惑の色が抜けた。
そんな有希に、わたしは心の中で謝った。
――ごめんね、有希。
本当はこんなことしたくないのだけど、こうしないと嫉妬で狂ってしまいそうになるから。
あなたのためなのよ。
わたしのためなのよ。
「そう……お兄ちゃんに、伝言を頼まれたのよ」
「え? 祐斗に?」
その呼び捨てのところがいやだ。
わたしにとっては「兄」でしかないということを、言われているようで。
「うん。あのね、ごめんだって」
わたしは涼しい顔でそう言った。
だけど心の中は、嫉妬心で疼いていた。
わたしとお兄ちゃんが結ばれないことなどとっくに分かりきっている。
だからわたしは、お兄ちゃんと誰かが結ばれることを阻止することしかできない。
有希の顔をちらりと横目で見た。
今までに見たことのないような表情をしている。
まるで全てが抜けてしまったような。