仕方なくわたしは、追い討ちをかけるかのように言った。
「誰なの? 教えてよ。クラスメート? もしかしてなんかやばいことに足突っ込んじゃったの?」
あの急ぎ様は異常だ。
わたしは急かすように、また「誰なの」と問うた。
だけどお兄ちゃんは、地面を見つめたまま。
悲しかった。
所詮わたしもその程度の存在だってことが、分かってしまったから。
だけど突然、お兄ちゃんがこちらを向いた。
それはさっきまでの態度では考えられないくらいの笑顔を浮かべて。
「ごめんな、美沙。今まで黙ってて」
「え……あ、うん」
驚いてその顔を見つめ直す。
コートに両手を突っ込んで、無邪気な笑顔を浮かべたお兄ちゃんの顔を。
「実はな、それ彼女なんだ」
お兄ちゃんはさも当然のように、そう言った。
まるで時間が止まったようだった。
周りの音が遠く感じ、わたしたちは隔離されてしまったような気分になった。
「……かの、じょ?」
信じられない言葉を、もう一度繰り返す。
するとお兄ちゃんは嬉しそうにこくりと頷いた。
「誰なの? 教えてよ。クラスメート? もしかしてなんかやばいことに足突っ込んじゃったの?」
あの急ぎ様は異常だ。
わたしは急かすように、また「誰なの」と問うた。
だけどお兄ちゃんは、地面を見つめたまま。
悲しかった。
所詮わたしもその程度の存在だってことが、分かってしまったから。
だけど突然、お兄ちゃんがこちらを向いた。
それはさっきまでの態度では考えられないくらいの笑顔を浮かべて。
「ごめんな、美沙。今まで黙ってて」
「え……あ、うん」
驚いてその顔を見つめ直す。
コートに両手を突っ込んで、無邪気な笑顔を浮かべたお兄ちゃんの顔を。
「実はな、それ彼女なんだ」
お兄ちゃんはさも当然のように、そう言った。
まるで時間が止まったようだった。
周りの音が遠く感じ、わたしたちは隔離されてしまったような気分になった。
「……かの、じょ?」
信じられない言葉を、もう一度繰り返す。
するとお兄ちゃんは嬉しそうにこくりと頷いた。


