「ここにいると現実の世界へ帰れなくなるかもしれない」
シータが鬼気迫る表情で、イオタに警告を発する。
「わかった……またね、シータ」
イオタは理解できたわけではなかったが、シータの威圧感に押され、体裁よくわかったと返事をしてしまい、手を振り、慌てて舞台から飛び下りた。
振り向いてシータを見ると、まるで死んでいるみたいに動かなくなっている。
幕が舞台の床に触れると、プツッと糸が切れる感覚でイオタの全身から力が抜け、その場に崩れ落ち、幕が下りたことによってシータと繋がっていた世界から遮断された気持ちになり、さらに心臓の鼓動がドクンと過剰に波打ち、目の前が白くなる。



