吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「そろそろぼくは眠るよ」


布団の位置を整えてシータが横になる。


「今度いつ会える?」


「早ければ次の食事のときかもしれない」


シータがそう言うと、ガタンガタンと重量感のあるモーター音がして赤い幕が下がり始めた。


「君はここに残っちゃいけない!早く舞台から出ていったほうがいい」


シータはグワッと眼球に血管を浮かせ、切羽詰った言い方をして追い払おうとする。


「どうして?」