吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「どうしても……だよ」


強い口調を途中で押し殺してシータが言った。


「もし話したらどうなるの?」


イオタの頭の中に疑問という名の霧がかかる。


「二人共殺される……」


「えっ?」


「かもね」


シータは片方の瞼をゆっくり閉じてウインクした。


「なんだ、冗談か」


イオタは胸を撫で下ろす。