吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「シータもあの図書館のような部屋で本を読んだことがあるの?」


イオタの頭の中で本と真っ先に結びつくのは、図書館のような部屋しかなかった。


「あの部屋にある半分くらいの本は読んだかな」


控えめに自慢されたが、半分でも相当な数を読んでいるわけで、イオタはすぐにでも追いつきたいという衝動にかられる。


「すごいね」


イオタは負けたくない胸の内を隠して称賛する。


「これからも会ってくれるかい?」