吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「ぼくはシータ」


シータが改めて自己紹介してきた。


「ぼくのイオタって変な名前だな」


イオタは自分の名前を自虐的に卑下する。


「名前はギリシャ語のアルファベットの順番だよ。君は九番目だから【ι・イオタ】ってつけられたんだと思う。ぼくは八番目だから【θ・シータ】」


イオタは即座に脳内の赤い本とシータが言ったことを照らし合わせる。

シータの言ったことに間違いはなく、他にも【θ】という文字は角度を示す記号でもあるらしい。