イオタは名前らしく、君付けということは男。 しかも聞こえているのは自分だけ。 男の子は自分の名前をいまさらながら記憶から失われていることに気づき、あの女の人に聞いとけばよかったと後悔する。 舞台を邪魔していいものか迷ったが、シータのことも気がかりで、舞台へ寄り、左右を確認する。 「早く……こっちへ」 シータが手招きしながら頭を上げた。 自分が呼ばれていることがはっきりした男の子は舞台を上り、ベッドに近づく。