よく見ると、ベッドの布団に膨らみがある。 「ゴホッ、ゴホッ……」 ベッドの布団が僅かに隆起して、誰かが寝ていることがわかった。 男の子はじっと舞台を見詰めた。 コツコツ……というどこかで聞いたような足音が舞台袖から聞こえてきた。 えっ?おばさん!?……いや、お姉さん? 男の子は心の声が聞こえてしまったのではないかと、思わず両手で口を塞ぐ。 左側の舞台袖から出てきたのは、あの女で、どうして舞台に出演しているのか、不思議でならない。