吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



覚悟を決め、目を閉じ、一気に流し込む。不快な喉越しは一口目と変わらず、鼻から錆臭いニオイが通り抜け、苦痛からおさらばできると思った矢先、男の子の眼球が見る見る赤く染まり、意識が飛ぶ。


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男の子は一瞬だけ真っ赤な世界に突然放り込まれた。


瞬きするかしないかの瞬時のことなのに、とてつもなく恐怖を感じた。


自分の体に何が起こっているのかわからないまま、赤い世界が去った後の光景に直面した男の子は首を傾げた。