座ると肖像画の男と向き合う形になり、ジッーと見られている感じがする。 普通、肖像画は正面を見ず、斜めに視線を泳がせて横顔を向けるのに、正面にある肖像画は明らかに男の子を視野に捉えていた。 「ちょっと待ってなさい」 と言って、女が部屋を出ていく。 バタン!とドアが閉まる音で男の子はあることに気づく。 待ってなさい、という台詞や部屋に連れて来ては出て行くという行為は玄関ホールと図書館のような部屋ですでに今日で三度目だが、いままで何度も見てきた光景なのは間違いない。