半円形のアーチのボールトが特徴的なのは九世紀から十二世紀まで主流だったロマネスク様式。
装飾品と呼べるものは、正面に掲げられた髭の両端がぴょんと跳ね上がった西洋人風の年老いた男の肖像画と、向き合うと三十人は座れそうな細長いテーブル。
表面がザラッとした天板はさっきまで本を読んでいた机よりも粗末な作りで、節のところが抜けて所々欠けている。
椅子も奥と手前に二脚あるだけで、両側に椅子は並べられていなかった。
「そこに座りなさい」
女はドアから一番近い椅子に座れと命令口調で指示する。
無駄なスペースを確保しているテーブルの椅子に座った男の子の気分はすぐれない。



