それぞれの窓から明かりがもれ、玄関のドアは茶色の木枠に植物の模様が入った飾りガラスがはめてあり、屋敷内部を見えないようにしている。
屋敷に入る前に男の子は後ろを見た。
深い森が真っ暗な闇を携え、車が通ってきた砂利道を闇へと誘う洞窟と化し、密集した大きな木々が屋敷を飲み込む勢いで迫っている。
男の子は女にくっつくように屋敷に入った。
玄関ホールはホテルのエントランスを思わせるほど広く、四面のドアで囲まれ、左右のドアは玄関と同じ飾りガラスがはめ込まれているのに対し、正面のドアだけ透明なガラスで内部を披露している。



