車はいつの間にか大きな建物の車止めのところで停止していた。 「降りなさい」 と冷たく言われ、車から外へ出た。 車のライトが消えたせいで辺りが真っ暗になったが、女がパンパンと手を叩くと建物の中に明かりが点く。 ギリシャ神殿のような洋風な屋敷で、建物を支えている灰白色のどっしりとした列柱がせり出して並んでいる。 玄関部分を中心に左側は上部がアーチ型で下部が床まである大きな窓が等間隔に配され、右側は丸い屋根のドーム型の形状になり、左右の造りには一体感がない。