吸血鬼は淫らな舞台を見る   episode ι (エピソード・イオタ)



「あなたすごくお喋りね。そうやって何でも聞けば、誰かが教えてくれると思ったら大間違いよ」


女に冷静な口調で言われた男の子は、怒られているのか、単に虫の居所が悪いだけなのか、顔色を窺うために上目使いで女の顔を覗き込む。


「そのいかにも自分はかわいいでしょ、みたいな顔をするのはやめなさい!」


一喝され、男の子は泣きそうになった。


自分の気持ちが女に全く通じていないことが悔しかった。


正直に思いをぶつければすっきりするかもしれないが、目に見えない圧力で抵抗できない。


それが体格差なのか年齢差からくるものなのか悩んでいると、また声が聞こえてきた。